この工程表における現在位置と速度の代表的な表示方法が「イナズマ線」表記だ。これはガントチャート上に、ある時点における進み具合を示す縦線を書き込む方法である。各アクティビティの進捗度に応じて、50%進捗ならば横線のちょうど半分の位置の点を、70%進捗なら7/10の位置の点を選んで、縦につなげていくと、稲妻状の折れ線ができあがる。すでに完了したアクティビティは、単にまっすぐに縦線を引っ張る。すると、予定以上に進んでいるアクティビティは、右側に出っ張り、遅れているものは左側に引っ込むから、どこが進んでどこが遅れているかすぐに目で見て分かる長所がある。

プロジェクトでは、定期的に工程表にイナズマ線を追記していく。プロジェクト全体のスパンに応じて適切な間隔(毎週とか毎月とか)で書いていくわけだ。そうすると、工程表のガントチャート(横線中心)に、次第に縦線が加わっていって、格子状になっていく。プロジェクト最後になってふり返ると、どこが遅れどこがうまく進んだかを、マクロに見てぱっと判断できる利点がある。
スケジュールのアップデーティングには、もう一つ「
二重線」と呼ばれる記法もある。これは、ガントチャートの各アクティビティに、計画線と実績線の2本の線を上下に重ねて引いて表現する方式だ。計画線は、着手予定日から完了予定日までを線で結び、実績線は、実際の着手日から実際の完了日までを結ぶ。ただし本日時点でもまだ完了していないタスクは、継続を示す短い点線を右に書くか、あるいは完了見込日までの横線にする(わたしはこの方が好きだ)。
見込日(Forecast date)とは、「現状のままでゆくと、終了日はこの日付になる」と予測/判断された結果である。

二つの方法には一長一短がある。イナズマ線は進捗のマクロな傾向が見やすいが、遅れたアクティビティが実際にいつ着手したのか分かりにくい。二重線の方は実績をつかまえるには便利だが、定期的に書き加えても経過が分かりにくい。ただ、いずれの場合でも、出発時点での元の計画との対比を主要な目的としている点は共通だ。プロジェクトはなかなか計画通りには進まない。それは経験的事実である。だからこそ、工程表を静的な情報として捉えずに、定期的にアップデートして予実対比していく必要があるのである。
ところが、「見込み日」の概念を知らない企業は世の中に多い。そうした会社では、現実を予想するために、計画のベースライン自体をどんどん変更してしまう。設計の着手が遅れたら、設計の予定日付も変えていく。しかし、この調子で計画を毎日変更していったら、最後に振り返って見たとき、実績は常に計画と一致していたことになる。これで本当に進捗管理といえるのだろうか? 計画のベースラインとは、めったなことでは変えないのが、プロフェッショナルのやり方なのである。